2004年4月15日(木)

 

きょうは15日、ゆうなの誕生日だ。
19才、ということは、19年前に産んだんだね。
金沢の病院で、ちょうど桜が満開の頃だった。
夕方になるでしょう、と医者は言ったのに、
昼過ぎに赤ん坊は出てきた。
ハハはいったん家にもどってしまってたので、
生まれたとき、家族は誰もいなかったっけ。

退院するとき、抱っこして車に乗ったら
赤ん坊はすぐ眠ってしまった。
走る車内の音が、子宮内で胎児が聴いてるという
血流の音に、似ているかららしい。

桜が満開だな、とおもった。

はじめてのこどもは不思議だった。
かわいくてたまらない、なんておもわなかった。
なんでこんなもんが突然そばにいるのか妙な気がした。
なかなかその存在に、慣れなかった。
うまれてからしばらくは、目もみえないなんて
ずっと知らなかった。
首がすわらないから、そおっとほんとに
壊れ物でも抱えるようにして
抱いていなければならないということも
知らなかった。
それが2〜3ヶ月もかかるなんて、知らなかった。
夜泣きするなんて、知らなかった。
育児雑誌でいくら読んで、知識としてわかっていても
腕にかかえて24時間態勢で関わってると
わからないこと、おもうようにいかないこと、
とまどうことばかりだった。
それまで自分本位に生活していた体が、
他者である赤ん坊に翻弄されて、 とまどっていた。

それが生まれてからえんえんつづくのだ。
慣れるまで時間がかかった。
ほっとできるようになるまで
10年くらいかかったのかもしれない。
やっと対等に会話ができるようになって、うれしかった。
とても長く感じた。
すぎてしまえば、あっというまだけど。

いままたもういちど、赤ん坊を育てろといわれても
躊躇してしまうだろうな。
なのに、なぜ、ふたりも生んだのか?

欲望、です。
きっと。
やってみたい。
生んでみたい。
体験してみたい。
スキな男の子どもを生みたい。
生みたい、生んでみたい、という欲望。

あとさき考えない、欲望。

さて、19歳になってしまうと、
あたりまえだけど、なんでも
ひとりでできるし、会話もできるし、
見た目はすっかり大人だし。
あんなちっこくってこわれそうな生き物だったなんて
すっかりもう忘れてしまってる。

いまはいろいろ別の面でタイヘン? だけど、
ふたりがいて、よかった。
かのじょたちと暮らすことによって
ぐっとわたしは日常生活に足をつけて支えられてる。
生きがい、というのではない。
とっても重たい重石でもあるのだけど、
それがないとふらふら〜っとわたしはどこかしら
帰ってこられないところに行ってしまってるとおもう。

死んじゃってるかもしれない。

いまだに子ども好きではないし、
母性本能なんてあるのかどうかさえアヤシイのだけど、
スーパーや電車で赤ちゃんをみると、
もう、わけもなく、カワイイ〜と思えるようにもなった。
(でも、子守りはしたくないです)

ヒトはわすれるんだな、たいへんだったことも
つらかったことも、だいたいはわすれてしまう。
そして物語にしてしまう。

あのころはあのころの悩みがたくさんあって、
毎日自分自身がもどかしかった。
どうしていっていいのかわからなかった。
ちいさくってやわらかい赤ん坊かかえて
途方に暮れていた。

いまはいまの悩みや苦しみがたくさんあって、
どうしようもなく途方に暮れている。
やっぱり毎日自分自身がもどかしいけど、
きっと時間がたっていけば
いまの悩みなんてどうってことないものに
なっていくんだろうなと、わかってる。

わかってる、ってことがきっと
あの頃とは、違うところかな。
成長した? のではなくて、単に
経験してきたってことか。

うんと、長生きしてやろうとおもう。
そしてまたたくさんの悩み苦しみ、
抱えて途方に暮れながら、
うんと楽しんでいこうとおもう。

まいにち笑わない日は、一日もありません、てゆうくらいに。
じっさい、いま、笑わない日は、ない、よ、このごろは。

泣く日もあるけど、泣いたらそのあとすぐ笑ってる。

まだまだたくさ〜ん笑えるし、笑いたい。

欲望が強いから、苦しいんだろう。
生きてることを、感じながら
快楽を感じながら、「生きたい」んだ、という欲望。

そして、生の快楽をしってしまっているから、
その欠落感が強くなる。
もっと、もっと、と欲しくなる。

楽しいことたくさん、あったから。
わすれられないくらいたくさん、あったから。

おなかがすいたよう〜おいしいものが食べたいよう〜。
ってね。
キリもなく。
満足すればするほど、ふくれあがってゆく、欲望。

きょうはゆうなともえと3人で、
沖縄料理食べに行きました。
ミミガー、ちゃんぷる、らふてぃー、ヒラヤチー、
紅芋チップス、タコライス、沖縄そば、鳥の唐揚げ……。
わたしはビール、ゆうなはオレンジジュース、
もえはシークワーサージュース。
それから風月堂でケーキセット。
たくさんもくもくたべた。
ちゅ〜ねんおばさん、ろ〜にんせい、じゅけんせい、……さまよえるわたしたち。
また、あしたっからがんばろ〜ね、と
たんたんと自分たちにいいきかせ、
ふらふらとスーパーマーケットの
化粧品雑貨売り場をうろつく3人。

きっとたのしい未来が
待っているよ、ね。

 

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