2003年11月11日(火)

 

きょうも一日中雨が降っている。

ここの窓からは隣の家の平たい屋上が見える。
グレーのビニールシートを敷いたようなコンクリートの面に
さかさまの電信柱、電線、さかさまの屋根、が滲んで映ってる。

そこにちいさくいくつもの雨粒のわっかが生まれては消えていく。
ふぞろいのリズムで、雨粒の数だけ、はじけてきえる。

目線を右前方のほうに上げると、
新宿高層ビル群が、てっぺんを白っぽい空につっこんで
輪郭だけになって立っているのが見える。
あそこにいる人たちは、空のなかにいるのだろう。

ベランダの手すりに連なっているしずくたち。
きょうの雨のテンポは遅いから、
しずくたちもゆっくりふくらんで、ふいっと落ちていく。
わたしがちょっと目を離したすきに、落ちていく。

きょうの雨は静かな雨。
街全体の物音を、薄い毛布でくるんで消している。
くぐもったような音が、雨音に混ざってときおりきこえる。
ゴジラかなんかが、地下鉄の下100メートルあたりで、ぐうぐう寝てる?

雨音って、ちょっと離れた台所で
お鍋で湧かすお湯の音に似てる。
くつくつとふぞろいに鳴り、
ときおり、ぱたん、ぽたん、と合いの手が入ってくる。

やけに間延びしたカラスの声もはいってくる。
裏道をとおっていく車のタイヤが濡れたアスファルトを轢いていく音もはいってくる。

あいかわらずたくさんの、白いわっかが
隣の家の屋上ではじけてる。
まだまだ止みそうにないけれど
すこし新宿ビルのてっぺんあたりが
明るい色になってきたようだ。

ゆっくり支度して、コンビニまで行って
宅配便を出してこようと、おもう。
帰りにドトールでコーヒーでも飲もうかな。

 

まえ  つぎ