「カラフル」森 絵都・著 理論社
「食農教育」 2001年11月号 掲載
真っ黄色のカバー。
そこに黒いマジックで書いたような手書きの文字で
「カラフル」とひとこと。
シンプルなようでぱっと目立つ装丁の
この本にはじめて出会ったのは、
中学生の娘の部屋でだった。
図書館で借りてきたらしい本は、
新品より少しだけ手になじむかんじがして、
すでに数人の中学生たちの手を経てきているらしい。
どんな物語なのかな……となにげなく読み始めた。
そしてそのまま一気に、読んでしまった。胸がいっぱいになった。
そして、その時の感動を一言でいってしまえば、
「生きてるってステキ! 」
(ああ、なんて単純で、こっぱずかしい感想でしょうか…)。森絵都(もり・えと)さん、
は数々の児童文学賞を受賞している作家。
小説好きの中学生(とくに少女たち)には大人気の作家だ。
この作品の他にも
「リズム」「ゴールド・フィッシュ」
「宇宙のみなしご」など、
少年少女たちを主人公にした物語がある。
「カラフル」でいっぺんにファンになってしまった私は
「森絵都さんの本、借りてきてぇ! 」
と娘に頼みこみ、次々と読んだ。
いずれも現代の子どもらを
いきいきとした文で描きだしている。
会話もリズミカルで、息づかいまで感じられそう。
この子たちにはどこかで出会ったことがある。
この物語の、この少年は、私のなかにもいる!
自分に自信が無くて、他人のことが気になって、
でも毎日は思うようにはいかない……。
ちょっとしたことでひどく落ち込んでしまったり……。
登場する大人たちも、極悪人はいないけれど、
どこか弱さをもった人ばかり。
だから、共感できる。
くすっと笑える。
そして、人たちの本気の言葉に、ぐっときてしまう。
うまくいかないことも多いけど、
ヒトってそんなにすてたもんじゃないよね。
自分を他人を信じて、
またいつからでもやっていけるよね。
読んだ後、ぐっと心の底からなにかがわいてくる。
それは「希望」のようなもの。
いろんないろどりで、きらきらと輝く「生命力」のようなもの。
娘がいてよかった。この本に出会えたから。
すべての心悩める少年少女たち。
そしてそんな「痛み」を
心の中にいつまでももっている大人たち、
におすすめの物語です。