「わからない」という方法  橋本治・著 集英社新書
「母の友」 2001年10月号掲載

 

「桃尻娘」
「男の編み物橋本治の手トリ足トリ」
「桃尻語訳枕草子」
「窯変源氏物語」……

タイトルを見ただけでも「???」
となっちゃうユニークな作家、
橋本治さん。
小説・評論・エッセイ・戯曲・お芝居の演出……
などなど、
活躍するフィールドは幅広く、
少女漫画から古典まで、
彼の視点はいつも独特で新鮮だ。  

そんな橋本さんが
「なぜあなたはそんなにもいろんなことに手をだすのか?」
という問いに答えたのがこの本。
「だってわからないから」。
ううっ、面白そう!
というわけで、一気に読んだ。 

「わからない」から「やる」。
ゴールは「わかった」。
「わかる」はその道程にある…らしい。
彼自身の体験を実例に挙げ、
わかりやす〜くその方法を解説してくれる。  

「へん(変)」をキーワードにして、
固く身についた常識をひっくり返す。
軽いノリで、
いつのまにか現代日本社会を鋭く批評する。
この本を読むと
「ああでもないこうでもない」
と考えさせられる。
ウン十年生きてきたなかで
凝り固まってしまっている固定観念や常識が 、
ぐらぐらと揺らぐ。
そんな被虐的快感もあるかも。
読み進むうちになんだかいろんなことが
「わかってきた」
ような気がしてしまう。
しかし、安易に彼のマネをするのは危険かも。

真に理解して「わかる」ためには、
かなり修業を積まなければいけないようだ。  

「暗記」は無意味な忍耐だ、
と彼は断言する。
頭(脳味噌)だけではダメなのだ。
現場で鍛えた身体で、
手と足で覚えていく。
そんな職人技が、
「正解」のない混沌とした時代を
生き抜いていくために必要な知恵であるらしい。  

なんてつい、わかったようなことを書いてるけど、
わかったような気がして、
そこで止まってしまうのが、
私達凡人の哀しいところ。
「わからない」からスタートして
「わかった」までに至る道は、
厳しく険しそう。
わかったことにして
つい安易な道を選んできてしまってるな〜
と自戒。  

「わかる」ための便利でカンタンな方法は、
ない、 のである。

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